株主権確認請求訴訟
株主権確認請求訴訟とは,株式に係る権利の帰属,すなわち株主権の帰属が争われる場合に,自分に株主権が帰属することを確定させるための訴訟です。
株主権確認請求訴訟を提起する必要性
株主権の帰属の争いは,単に,それだけが争われるよりも,他の訴訟の中で争われることが多くあります。
例えば,取締役の選任を決議した株主総会決議が不存在であるとの確認訴訟の中で,真正な株主に招集通知を送らなかったことなどを理由に争われた場合,誰に株主権が帰属するのかについて争われることになります。このような訴訟でも株主権の帰属について判断はされますが,その株主権の帰属に関する判断は,判決理由中の判断でしか過ぎないため,株主権の帰属の判断に法的効力(既判力といいます)は認められません。
そうすると,同種の他の裁判が起きた場合でも,その都度,株主権の帰属が争われますが,先行する判決における株主権の帰属の判断が,後の裁判に法的には影響を与えないことになってしまいます。
株主権確認訴訟において株主権の帰属が確定すれば,そこに法的効力(既判力)が生ずるため,その後の裁判に法的な影響を与えることができるため抜本的に解決を図ることができます。
したがって,株主権の帰属が訴訟中の中で争われた場合には,併せて株主権確認訴訟を提起して抜本的な解決を図る必要があります。
株主権の帰属の判断基準
株主権確認請求訴訟では,名義上の株主と出資の払込金の出捐者のどちらが株主となるかについて争われることが少なくありません。
最高裁判決では,出資の払込金の出捐者に株主権が帰属するとしています(最判昭和42年11月17日民集21巻9号2448頁)。
この場合,金銭が,出捐者から会社へ出資の払込金がきれいに移っている証拠があればいいのですが,複雑に資金移動していると,出資の払込金の出捐者であることの立証が非常に困難になる場合があります。
株主権確認訴訟の解決の困難性
株主権は,株式を新株発行により原始取得する場合には,募集株式の申込み及び割当てという手続を経ない場合には,株式引受契約を締結します。この株式引受契約について書面で契約書を交わしていればいいのですが,契約書を作成していなかったり,会社においても会社法の規定に従った運営をせずに株主名簿などが存在しなかったりするケースもあります。また,会社の支配権を得ようとして株主権を主張する者が,会社の代表取締役と通謀して,虚偽の株主名簿や株式譲渡契約書が作成されることもあります。
このような書類の不備と会社法の規制の盲点を突いた虚偽の証拠などにより,株主権確認訴訟の解決は非常に困難を極めることも少なくありません。
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